少し前の記事ですが、「クラウドソーシング→ワープア」という記事を読みました。
単価が安く、あまりスキルにならず、競合も多いため、さらに値段を下げてでも受注に動くフリーランサーが多い状況だから、働けど働けど貧乏なままということらしいです。

実際、サイト開発やアプリ開発の案件で5万円~30万円程度のものが非常に多く、かと言って1週間やそこらでは終わらない内容だったりします。そして依頼内容がかなりふわっとしています。
どう見ても地雷です。本当にありが(以下ry

こういう案件に応募するフリーランサーが増えると、ワープアが量産されることになると思いますが、だからといって皆が単価が下がってプアになるとも思えません。

imgres

懸念されることとしてよく挙げられるのは、業界の全体的な単価の下げ圧力が発生することです。例えばシステム開発で言うと、本来ソフトハウスに開発依頼をしたら200万円かかる案件があるとします。クラウドソーシングで50万円でやってください、と募集をかけたらやってくれる人が見つかることがあります。そうすると依頼主は「システム開発の相場ってこんなもんなんや」と思ってしまいます。またクラウドソーシングのサイトを閲覧する依頼主、フリーランサー双方とも、その過去の取引から価格を決めてしまいがちです。これがさらにクラウドソーシングのサイトから外のリアルな世界へ波及して、「クラウドソーシングでは50万円でできるのに、開発会社に見積もりとったら200万円って言われた、ぼったくりやわ」となり、全体的な相場の下げ圧力になるという寸法です。

ただ私は全部が全部そうなるとは思えません。

クラウドソーシングで安価で対応できる、能力あるフリーランサー(この場合は技術者)がそんなにたくさんいるとは考えられないからです。例えば、クラウドソーシングでは1ヶ月くらいかかる仕事で20万円しかもらえないとします。(むしろこれでも現状のクラワ、ランサーズではマシな方です) これをきっちりやれる人はおそらくエージェント経由の開発受託やもしくは派遣会社を通して派遣先で開発業務をする場合40万円程度は楽に得られるはずです。同じ時間をかけて同じような仕事をするのに、報酬が高い仕事と安い仕事があったら、どちらを選択するかは考えるまでもありません。つまり普通に働いてお金が稼げるフリーランサーは、わざわざ割安な仕事を選ぶわけがなく、それを選ばざるを得ない人が割安で請けてくれるということで、それは、例えば地方在住とか通勤ができない健康状態であるとかいった状況に置かれた人にとっては便利な仕組みとしてクラウドソーシングは活用されるのだと思います。

もう一つの理由は、クラウドソーシングで開発案件を請ける人たちのレベルが様々だということです。レベルが高い人は一般的にはここでの案件を選ぶ理由が少ないのは先に述べた通りです。とすると、技術者、プロとしてのレベルがまだ発展途上、あるいは駆け出しの人が多いのではないかと推察されます。実際のところはアンケートを取ったわけではないのでわかりませんが、先述のように、出来る人にとってはここで仕事を取っても割損に思うはず、ということからそう考えるのですが。
レベルが様々でプロとして未成熟な人が多いとすると、依頼主からしても使いにくい市場と捉えられるようになるのではないでしょうか。。まともにビジネスをしている依頼主なら、途中でできねーと言ってトンズラされたり、思ったような成果物が上がってこなかったりするとまずいわけで、そういう人は高い金額を提示するようになるはずです。なぜなら高い金額を提示しなければ、稼ぐ代替選択肢のあるプロは見向きもしないからです。

ダメ押しに言うと、世の中のあらゆるものの価格は法律などの規制がない限り、落ち着くところに落ち着くように出来ています。一物一価の法則です。質のいい仕事をしてもらうにはそれなりのお金が必要で、質と料金はトレードオフです。もしこの原則が働かないとしたら、それは一種のアービトラージ可能な状態であり、言うまでもなく買い手有利な市場ということです。もしかしたら、今のクラウドソーシング市場は裁定可能マーケットなのかもしれないです。でもこの場合でも買い手有利は永遠に続くわけではなく、先に述べた2つの話から分かると思いますが(他に有利な選択肢が存在するので)、いずれ現実的な価格で均衡します。

とはいえ、安い価格できっちり仕事をする技術者が多そうな印象もあるので、元証券会社勤務の私の分析ではクラウドソーシングは買い手に回ったほうがしばらくは有利なのかなという気がします。(安いから質も悪いとは今のところは言えないということ)

最終的な帰結としては、クラウドソーシングのせいで業界全体の価格が下がることはないでしょうし、それはフリーランサーにとって当然なのは言うまでもなく、クライアントにとっても悪いことではないと思います。適切な値段できちんとした質のサービスを得られるわけですから。

もし、フリーランスでクラウドソーシングで仕事を受注する場合は、以上のことを踏まえたうえできちんとお客さんと交渉して受注するのが双方にとって良いと思います。安い金額で請ける場合は、納期が確約できないとか、テストは最低限しかしませんとかドキュメントはつくりませんとか、まだ駆け出しなので安く請けれるとか。そういう予防線を張らないと確かにワープアになってしまいそうです。